温泉旅館ホテルの集客いろはの”い” 「会計を攻略せよ」
- 2022.03.28
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福島県よろず⽀援拠点の島⽥慶資です。
コーディネータとして福島県内外の事業者様に『IT活⽤(情報発信)』『販路開拓』『事業計画策定』『施策活⽤』の⽀援をしています。どうぞ、よろしくおねがいします。
私は『30ルーム以下の温泉旅館ホテル』の事業者様の販路開拓が得意です。複数回ブログの執筆機会をいただいているので、⼩さなお宿様の販路開拓をシリーズでお伝えできればと考えています。
最終回としてお宿様の「会計」をテーマとします。
旅館経営の儲けの構造
GOTOトラベルキャンペーンや県⺠割りなどの話が聞こえてきております。短期間かつ単発の⽀援メニューでお宿様の傷ついた財務基盤を回復させることは困難であろうと思案しますが、貴重なチャンスであることも事実です。そこで、本稿においてはお宿様の儲けの構造について考えてみます。
お宿様においては、激務であるためにビジネスモデルの点検がおざなりになっている場合があります。お客様にたくさん来館いただいて、⽉を締めてみると想像していたより儲かっていない…なんて⼼当たりはありませんか?
ビジネスモデルを定期的に点検して、集客のアクセルを踏み込んでも⼤丈夫な状態を維持・継続する必要があるでしょう。
さて、お宿様のビジネスモデルを次のように定義しましょう。
売上⾼(計算式 お客様単価×客数)
外部付加価値(計算式 ⽐例費×客数)=粗利(⾃社が⾃由に使える利益、⼿元に残る利益)
お宿様の試算表を眺めていると、原価として「料理材料の仕⼊⾼」が計上されていることが多いです。しかしながら、お宿様の経営で外部付加価値は、料理材料だけでしょうか?
旅館の次の経費もお客様数に正⽐例して発⽣する外部付加価値でしょう。
✓クレジットカードの利⽤⼿数料(約1~3%)
✓ネットエージェントの送客⼿数料(約10%)
✓成功報酬型のネットエージェントの広告宣伝費(約3%)
✓リネン代(約1%)
✓アメニティー代(約1%)
✓⼊湯税(約1% @150円程度が多い)
料理原価を24%と仮定すると、お客様数に正⽐例して発⽣する外部付加価値は合計して40%以上になります。この外部付加価値は、試算表上に上がっている仕⼊⾼と⼤きく乖離しているのではないでしょうか。
専⾨家からの助⾔
⼩さなお宿様においては、料理原価は無視して積極投資をするべきではありますが、だからといってビジネスモデルを無視して良いわけではありません。
たっぷり料理原価をかけるぶん、料理と⼝コミが広告宣伝費の代わりになるわけですから、成功報酬型の広告宣伝は利⽤しないなどの判断が必要になることでしょう。
試算表だけの数字では、経営を⾒誤ることがあります。
あくまで試算表の数値は納税のための情報であり、その情報を⾃社にふさわしい形にくみかえてつかうことで経営に役⽴てることができます。
試算表や決算書には、まだ島⽥が考える罠が複数個存在しています。
✓減価償却期間が現実的な期間ではないこと
✓広告宣伝費(顧客リスト)は、減価償却費の考え方が必要であること
✓⼊⾦されていない売上⾼に対して、消費税の納税義務があること
納税のためのルールは変更することができません。しかしながら、⾃社が⾃社の経営ために数値をつくることを推奨しています。「企業会計原則」では「単⼀性の原則」に次のように書かれています。
単⼀性の原則
株主総会提出のため、信⽤⽬的のため、租税⽬的のため等種々の⽬的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。
http://www.tadao.law.kyoto-u.ac.jp/kaikei.htm
引⽤に書いてあるとおりですが、⽬的に応じて財務諸表は作る必要があるのでしょう。
今年度のブログはこれで終了
福島県よろず⽀援拠点のお客様で「読んでいるよ」とお声をいただいた経験があり、頑張ることができました。今年度のブログはこれで終了となります。来年度も同様の執筆機会がありましたら、お宿様の会計について投稿しようと考えています。
また、来年度もお付き合いくださいませ。
ありがとうございました
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