「暖簾(のれん)」のお話

「暖簾(のれん)」のお話

こんにちは!コーディネーターの水野谷悌子です。今回は商いを営む事業者様には馴染み深い「暖簾」のお話をしたいと思います。
暖簾は、元々店先にかかる布のことです。入り口に仕切りとして垂らした布や縄状のもので、それ自体には物質的な価値はさほどありません。しかし、顧客への知名度やブランドを象徴する見えない資産価値を意味します。

古来平安時代には既に暖簾はあったとされ、この時代の絵巻物や絵画にも庶民の家の軒先に日よけや風よけとして掲げられた様子が描かれています。鎌倉時代には源氏物語絵巻にも見られるように、貴族の暮らしの中で室内の間仕切り・装飾や目隠しを目的としたものにもなっていきました。また商家の商標や屋号を示すものとして暖簾に家紋を入れるようになっていったようです。江戸時代には文字を入れて店の広告媒体として使用され、またこの頃から業種によって暖簾の地色が特徴付けられました。

暖簾の色

・藍色:呉服屋、酒屋、蕎麦屋等
・茶色:お茶屋、煙草屋
・白色:お菓子屋、薬屋
・その他

形状

・半暖簾、長暖簾、日除け暖簾、水引暖簾など。

素材

・布暖簾、縄暖簾、珠暖簾、管暖簾等。

暖簾の用途目的

・掲げて開店の時間を示す、開店サイン。
・屋号や家紋などを染め抜き、店の特長を表す。
・他店との差別化・個性を表出する。
・格式や店の信頼を表現する。
・大きさや固定方法によって住まい方の機能性を高めると共に、演出のバリエーションを豊かにする。
・季節に合わせて暖簾も年2回、夏暖簾と冬暖簾に替える店もあり、涼しさ・日よけ・風や寒さ除けなどの過ごしやすさと、季節感を演出する。
・現在にはあまり当てはまりませんが、以前は飲み屋の暖簾は、食事の後少し汚れた指先を暖簾で拭いてゆくことから、暖簾の汚れがお店の繁盛度合いの目安となっていた。

暖簾を使った言葉

・「暖簾をあげる」「暖簾をおろす」「暖簾を守る」「暖簾にかかわる」また「暖簾分け」・・・等々。暖簾は、商家の浮き沈みに纏わる代名詞でもあり、また本店の流れを汲む信頼性を感じさせるものでもあります。

暖簾は古来中国から輸入されたとする説もありますが、いずれにしても他国では暖簾本来の住まい方の機能的な用い方に限定する使い方をしているようです。日本のように実用・機能面のみならず、店頭での広告、空間を仕切る結界として。また内包する資産価値として、「暖簾」をブランド・象徴と深く位置付けている日本文化は、歴史の中で独自に培われ、今に受け継がれてきた伝統的な暮らしのあり方と言えるのではないでしょうか。
是非、街中で見かける暖簾に注目してみてください。

参考文献:高井潔(著)/暖簾/淡交社/1997年


《ご相談受付窓口》
福島県よろず支援拠点 郡山事務所 TEL.024-954-4161
福島県よろず支援拠点 福島サテライト TEL.024-525-4064
福島県よろず支援拠点 いわきサテライト TEL.024-525-4064
福島県よろず支援拠点 会津サテライト TEL.024-525-4064
福島県よろず支援拠点ホームページ 福島県よろず支援拠点
公式ブログ「よろず知恵袋」
公式YouTubeチャンネル