補助金はどのくらい回収されるか?

補助金はどのくらい回収されるか?

福島県よろず支援拠点コーディネーターの長谷川です。今回は、補助金が税金等でどの程度回収されているか? を試算してみました。

モノづくり補助金、事業再構築補助金と中小企業向けの大規模な補助金が次々と出てきます。こんなにたくさんの補助金が出て、国の財政は大丈夫だろうかという心配もあります。

事業用の補助金の活用により、消費税、固定資産税は確実に発生し、さらに、収益に対しては法人税等、人件費に対しては、所得税、住民税のほか、社会保険料、労働保険料が徴収されます。

モノづくり補助金の年間補助額は約1,000億円で、回収される税金等(社会保険料等を含む)は、今回の試算では914億円となりした。様々な税金を通して、中小企業の事業者向けの補助金の回収率は高いと予想されます。

ほぼ回収されるのであれば、補助金をどんどん増やしてほしいとも思うのですが、過剰であることの弊害も懸念されます。生産力の拡大により、供給過剰となり価格が暴落すること、新陳代謝が早すぎて乗り遅れる事業者もあり、格差が拡大することなどです。

補助金の効果は高いと予想されますが、どの程度が妥当なのか予測がつかないのが現状でもあります。

*試算の条件

1 モノづくり補助金の活用による設備投資等の総額(=販売業者の売上)

・モノづくり補助金の額を1,000億円。

・1企業当たり補助額1,000万円、補助対象事業者1,000社。うち補助率1/2500社)、2/3500社)。補助対象外経費を補助対象経費の1割。

・総設備投資等の額  (1,000億円÷(1/2+2/3)/2×1.11,886億円

2 補助対象事業者の売上の増加額、税引後利益率、人件費率、増加する期間

・売上の増加する事業者3割、設備投資による増加売上率(投資回転率)は1.0

・税引前利益率3%、売上人件費率30%、売上の増加期間5年。

3 販売業者の税引前利益率、売上高人件費率

税引前利益率3%、売上高人件費比率30

4 税率、課税対象額等

1 消費税 10
2 固定資産税(償却資産税)

・設備投資等の総額のうち90%が機械・設備購入費。耐用年数5年間。

課税標準は、投資等の総額1,886億円×90×70%、税率14/1,000

3 利益に対する課税

・補助事業者  法人税15%+県法人事業税3.5%+県・市町村法人税割((法人税15×(県税法人税割1%+市町村法人税割7.1%))≒20

・販売事業者  法人税23.2+県法人事業税7.0+県・市町村法人税割((法人税23.2×(県法人税割1+市町村法人税割7.1%))≒32

4 人件費に対する課税

・個人(役員報酬・給与)に対する課税

所得税5%+市県民税10%+健康保険料29.74/2+労働保険0.3%≒30

・会社に対する課税

健康保険料29.74%/2+労働保険料0.9%≒16

・合計 30%+16%=46

 

納税者

税の区分

計  算  式

金額

(億円)

回収の確実性

消費税 設備投資等の総額1,886億円×消費税10

188

確実

補助対象事業者 設備に対する課税 固定資産税 設備投資等の総額1,886億円×90%×0.7×税率1.4×5年×1/2

   41

確実

利益に対する課税 法人税等 売上(設備投資等の総額1,886億円×30×1.0)×利益率3%×税率20%×5

 17

変動がある

人件費に対する課税 所得税等、社会保険料・雇用保険料 売上(設備投資等の総額1,886億円×30×1.0×人件費率30×税率46×5

   390

変動がある

448

設備等の販売事業者 利益に対する課税 法人税等 売上1,886億円×利益率3%×税率32

  18

ほぼ確実

人件費に対する課税 所得税等、社会保険料・雇用保険料 売上1,886億円×人件費率30×税率46

 260

ほぼ確実

278

合計

914

 


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